電力プラン活用の手軽な節電 ピークシフトで電気代を無理なく抑える方法
時間帯別料金プランで電気代を無理なく抑える「ピークシフト」とは
ご契約されている電力会社や料金プランによっては、電気料金が時間帯によって異なる設定になっている場合があります。例えば、昼間(特に電力需要が高まる時間帯)の料金が高く、夜間や早朝の料金が安価に設定されているプランなどです。このようなプランを契約されている方にとって、電力使用のタイミングを工夫することは、無理なく電気代を削減する効果的な方法となります。
この「電力使用のタイミングをずらす」取り組みは、「ピークシフト」と呼ばれます。電力需要が集中する時間帯(ピークタイム)を避け、料金が安価な時間帯に電気を使うことで、使用電力量自体が変わらなくても電気代を節約することが可能になるのです。
この方法は、大掛かりな設備投資や特別なスキルを必要とせず、日々の生活習慣や家電の使い方を少し見直すだけで取り組めるため、多忙な方でも実践しやすいエコ活動と言えます。今回は、このピークシフトによる手軽な節電方法と、その効果について具体的にご紹介します。
ピークシフトが電気代削減につながる科学的根拠と具体的な効果
時間帯別料金プランにおける電気代の差は、電力会社が供給安定化のために電力需要の平準化を図る目的で設定されています。需要が高い時間帯の料金を高く設定することで、消費者にその時間帯の電力使用を控えるよう促し、安定供給を維持しやすくしています。したがって、料金が高い時間帯の使用を減らし、安い時間帯に移行することは、電力会社の意図に沿った行動であり、直接的に電気代の節約につながります。
具体的な節約額は、契約しているプランの料金設定、ご家庭の電力使用パターン、そしてどの程度ピークシフトに取り組むかによって異なりますが、例えば東京電力の特定の時間帯別プラン(現在の新規契約は制限されていますが、契約継続中の場合)では、昼間の料金が夜間・早朝料金の2倍以上に設定されているケースもありました。
単純計算ですが、もし昼間に消費していた100kWhの電力を、夜間・早朝の安い時間帯にシフトできた場合、1kWhあたり15円の差があるとすれば、月間で1,500円の節約効果が生まれる可能性があります。これはあくまで一例ですが、料金差が大きいプランほど、ピークシフトによる節約効果は顕著になります。
また、ピークシフトは個人の電気代削減だけでなく、社会全体の電力負荷平準化にも貢献します。これは、発電所や送配電網への負荷を軽減し、安定的な電力供給体制の維持に役立つという側面もあります。
短時間でできる!ピークシフトの実践的なアイデア
ピークシフトと聞くと難しく感じるかもしれませんが、普段使っている家電の使い方を少し工夫するだけで十分な効果が期待できます。多忙な方でも無理なく取り組める手軽なアイデアをいくつかご紹介します。
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タイマー機能の活用:
- 洗濯機:乾燥機能付き洗濯機の場合、タイマーを使って料金の安い夜間や早朝に洗濯・乾燥が終わるように設定します。
- 食洗機:食器をセットしておき、タイマーで料金の安い時間帯に運転を開始するよう設定します。
- 炊飯器:予約炊飯機能を活用し、料金の安い時間帯に炊きあがるように設定します。
- お湯を沸かす電気ケトルやポット:タイマー機能があれば、安い時間帯に沸かして保温・使用します。
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充電時間の変更:
- 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV):充電器のタイマーや車両側の設定を活用し、料金の安い夜間に充電します。
- スマートフォンやPCなどのデジタルデバイス:就寝前に充電器に接続するのではなく、タイマー付きコンセントを使用したり、起きてから充電を開始したりするなど、意識的に安い時間帯に充電します。
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大型家電の使用をずらす:
- ロボット掃除機:タイマー設定で、外出中や就寝中の安い時間帯に稼働させます。
- 浴室乾燥機:使用する時間帯を、料金の安い夜間や早朝にずらします。
- IHクッキングヒーターやオーブン:可能であれば、料金の高いピークタイムを避けて調理します。ただし、食事の準備は生活リズムに合わせることが重要ですので、無理のない範囲で検討します。
これらのアイデアは、一度設定してしまえば後は自動で行われるものが多く、日々の手間をほとんど増やすことなく取り組めます。多忙なビジネスパーソンの方でも、例えば週末にタイマー設定を見直す時間を作るなど、無理なく続けられる工夫が可能です。
一人でも、家族とでも取り組みやすい工夫
ピークシフトは、まず一人で試してみて効果を実感することから始めるのがおすすめです。特にタイマー設定による家電の稼働時間変更などは、他の家族に大きな影響を与えずに実行できます。
もし家族で取り組む場合は、料金プランの仕組みやピークシフトによる節約効果について、分かりやすく説明することが大切です。例えば、「夜11時以降に洗濯機を回すと、お菓子が一つ買えるくらい電気代が安くなるんだよ」のように、具体的なメリットを伝えると理解を得やすいかもしれません。
また、家族みんなが協力しやすい簡単なルールを決めるのも有効です。例えば、「お風呂の乾燥機は寝る前にスイッチを入れる」「スマートフォンの充電は寝ている間に済ませる」など、具体的な行動を決め、リマインダーを設定するなどの工夫をすると、習慣化しやすくなります。
導入しやすい関連設備・サービス
ピークシフトをより効率的に行うために、以下のような設備やサービスの導入を検討するのも良いでしょう。
- スマートプラグ: スマートフォンアプリから家電のオンオフを操作したり、タイマー設定を細かく行ったりできます。既存の家電をスマート化し、より柔軟なピークシフトが可能になります。
- スマートメーター連携サービス: 電力使用量をリアルタイムで「見える化」するサービスの中には、時間帯別の使用量や料金への影響を確認できるものがあります。これにより、ご自身のピークシフトの効果を具体的に把握でき、モチベーション維持につながります。
これらの設備やサービスは、比較的手軽に導入できるものが多く、ご自身のライフスタイルに合わせて活用を検討してみる価値はあります。
まとめ
時間帯別料金プランにおけるピークシフトは、特別な我慢や大きな労力を伴わずに電気代を節約できる、実用的で賢いエコ活動です。タイマー機能を活用したり、大型家電の使用時間を少しずらしたりするだけでも、年間を通せば無視できない節約効果が期待できます。
まずはご自身の電力料金プランが時間帯別かどうかを確認し、可能であれば本記事で紹介したような手軽なアイデアから一つずつ試してみてはいかがでしょうか。ご自身やご家族のライフスタイルに合った方法で、無理なく、賢く、電気代削減とエコ活動を両立させていきましょう。