インターネット機器で無理なく節電 ルーター等の賢い使い方と選び方で手軽なエコ活
インターネット機器の電力消費に着目する手軽な節電
自宅でインターネットを利用することは、仕事やプライベートにおいて不可欠な要素となっています。パソコンやスマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスをインターネットに接続するために、ルーターやモデムといった機器が常に稼働しています。これらのインターネット関連機器は、24時間365日電源が入っていることが多く、意外と多くの電力を消費している可能性があります。
多忙な日常の中で、大掛かりなエコ活動に取り組む時間を確保するのは難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、インターネット機器の電力消費に注目し、少しの工夫を取り入れることで、無理なく、そして確実に節電・節約につなげることが可能です。本記事では、インターネット機器の電力消費の実態に触れながら、短時間で実践できる節電方法や、長期的な視点での機器選びについて解説します。
インターネット機器はどれくらい電力を消費するのか
インターネット機器の消費電力は、機器の種類や性能によって異なりますが、一般的な家庭用ルーターの消費電力は、概ね数ワットから10ワット程度とされています。モデムやONU(光回線終端装置)なども同様に数ワット程度の電力を消費します。
個々の機器の消費電力は小さく見えるかもしれませんが、これらが常に稼働していることを考慮に入れると、年間の積算電力量は無視できないレベルになります。例えば、消費電力8ワットのルーターと5ワットのモデムが1年間 continuous に稼働した場合、合計で約114kWhの電力を消費します((8W + 5W) × 24時間 × 365日 ÷ 1000 = 113.88 kWh)。電力料金単価を仮に30円/kWhとすると、年間約3,400円程度の電気代がかかっている計算になります。
もちろん、この金額はご家庭全体の電気代から見れば一部かもしれません。しかし、意識せずに支払っている費用であり、少しの工夫で削減できる可能性がある部分です。特に複数の機器を接続している場合や、古い機器を使用している場合は、さらに消費電力が大きい可能性も考えられます。
無理なく実践できるインターネット機器の節電方法
インターネット機器の節電は、特別な手間や時間をかけずに行えるものが多数あります。多忙な方でもすぐに取り組める実践的なアイデアをご紹介します。
設定の見直しによる節電
多くのルーターには、消費電力を抑えるための設定項目が備わっています。取扱説明書を確認するか、ルーターの設定画面にアクセスして、以下の項目を検討してみてください。
- 無線LAN(Wi-Fi)機能の一時停止: 寝ている間や外出中など、インターネットを使わない時間帯にWi-Fi機能を停止することで、消費電力を抑えることができます。多くのルーターには、指定した時間帯にWi-Fiを自動でオン/オフするタイマー機能が搭載されています。この機能を活用すれば、一度設定するだけで、その後の手間は一切かかりません。ただし、Wi-Fiをオフにすると、接続している全てのワイヤレス機器がインターネットに繋がらなくなるため、ご家族の利用状況に合わせて設定を検討する必要があります。有線接続の機器は影響を受けません。
- 省電力モードの有効化: ルーターやモデムの種類によっては、通信状況に応じて消費電力を自動で調整する省電力モードやエコモードが搭載されています。この機能を有効化することで、通信速度に影響を与えずに電力を抑えることが期待できます。設定画面に項目があるか確認し、可能であれば有効に設定してみましょう。
これらの設定変更は、パソコンやスマートフォンからルーターの設定画面にアクセスして数分で行えるものがほとんどです。
機器の配置とメンテナンス
インターネット機器は熱を持ちやすいため、通気性の良い場所に設置することが重要です。機器が高温になると、パフォーマンスが低下したり、場合によってはより多くの電力を消費したりすることがあります。壁際や狭い場所ではなく、空気が流れやすい場所に設置し、周囲に物を置かないようにしましょう。
また、機器のファームウェア(内部ソフトウェア)が古いままになっていると、省エネ性能が十分に発揮されない可能性があります。定期的にファームウェアを最新の状態に更新することも、電力効率を維持する上で役立ちます。ファームウェアの更新も、多くの場合インターネット経由で簡単に行えます。
最新機種への買い替え検討
古いインターネット機器は、最新の機器に比べて消費電力が大きい傾向があります。技術の進歩により、新しいルーターやモデムは、より少ない電力で高いパフォーマンスを発揮できるよう設計されています。
もし現在お使いの機器が購入から数年以上経過している場合、最新の省エネ性能を持つ機器への買い替えを検討することも、長期的な視点での節電につながります。新しい機器を選ぶ際は、製品仕様に記載されている消費電力を比較するほか、省エネ基準を満たしているかどうかも参考になります。初期費用はかかりますが、年間の電気代削減効果を考慮すると、数年で元が取れる場合もあります。
節電効果の科学的根拠と期待できる節約額
インターネット機器の節電効果は、主に消費電力を削減することによって得られます。例えば、タイマー機能でWi-Fiを毎日8時間停止した場合、Wi-Fi機能自体が消費していた電力分を削減できます。Wi-Fi機能の消費電力が仮に2ワットだとすると、年間で約5.8kWhの削減となり(2W × 8時間 × 365日 ÷ 1000 = 5.84 kWh)、電力料金単価30円/kWhで計算すれば年間約175円の節約になります。これは一例であり、機器や設定内容によって効果は異なります。
より大きな効果が期待できるのは、古い機器を最新の省エネ機器に買い替える場合です。例えば、10年前のルーターの消費電力が15ワットだったとします。これを最新の8ワットのルーターに買い替えることで、年間約61kWh((15W - 8W) × 24時間 × 365日 ÷ 1000 = 61.32 kWh)の削減が見込め、電力料金単価30円/kWhで年間約1,800円以上の節約につながります。加えて通信速度の向上や安定性の向上といったメリットも得られるため、単なる節約以上の価値を感じられるかもしれません。
家族を巻き込む簡単な方法
インターネット機器の節電は、基本的に機器の設定変更など一人で行えるものが多いです。しかし、Wi-Fiのオン/オフタイマーを設定する際には、ご家族の利用状況を事前に確認し、不便にならない時間帯を選ぶことが大切です。設定変更を行ったことを伝え、なぜこの設定にしたのか(電気代の節約になることなど)を共有すれば、ご家族の理解も得やすいでしょう。
新しい機器への買い替えを検討する場合も、最新機器の省エネ性能とそれに伴う電気代削減効果を具体的に説明することで、ご家族の同意を得やすくなります。「年間〇〇円くらい電気代が安くなるみたいだよ」と具体的な金額を提示するのが効果的です。
まとめ
インターネット関連機器の節電は、普段あまり意識することのない電力消費に目を向け、簡単な設定変更や機器選びの工夫によって実現できます。常に稼働している機器だからこそ、小さな節電の積み重ねが年間を通して見ると意外な節約につながります。
Wi-Fiタイマー機能の活用、省電力モードの設定、そして長期的な視点での省エネ性能の高い機器への買い替えなど、ご自身のライフスタイルやインターネットの利用状況に合わせて、無理なく続けられる方法から取り入れてみてはいかがでしょうか。多忙な中でも手軽に始められるインターネット機器の節電は、賢くエコ活動を実践する第一歩となります。